「月に寄り添う乙女の作法」評価と感想

「月に寄り添う乙女の作法」の評価と感想

評価

ブランドNevel
発売日2012年
ジャンルシナリオ系、純愛系、音楽系
総合評価A-
評価内訳音楽:A- シナリオ:A- 絵:B 演出:B キャラ:A- システム:B H度:B 時間30h

あらすじ

 主人公『大蔵遊星(おおくらゆうせい)』は、日本の財界を代表する‘華麗なる一族’大蔵家の末端に、望まれぬ子として生を受けた。
優秀な親族や家庭教師のもとで厳しく育てられた遊星は、多芸に秀でた万能家であったが、いうなれば籠の中の鳥であり、およそ人並みの夢や希望などとは無縁の生涯だった。

そんな遊星が、初めて一族の監視下を離れ、ひとりで外の世界へ出る機会を得た。
名もなき庶民の娘『小倉朝日(こくらあさひ)』となって素性を伏せ、上流階級の子女が集う服飾専修機関『フィリア女学院』へ潜入することになったのだ。

その一環として遊星(=朝日)は、学院一のスーパー同級生『桜小路ルナ(さくらこうじるな)』に仕えるメイドとして、彼女の住まう『桜屋敷』で働くことに。

そしてそこには、ルナと縁のある学院生らが同居するという。
一人はスイスから来た誇り高き留学生『ユルシュール』。
一人は旧華族の流れを汲む家柄の大和撫子『花之宮瑞穂(はなのみやみずほ)』。
そしてもう一人が、少年時代の主人公に恋していた庶民派の社長令嬢『柳ヶ瀬湊(やながせみなと)』。

いずれも個性的なお嬢様方に加えて、それぞれに付き従う超個性的な従者たちが遊星(=朝日)の生活を引っかきまわす。

果たして遊星は、素性(おもに性別)を偽ったまま、屋敷と学園の二重生活を無事に過ごすことが出来るのか?

曲名:DESIRE 歌手:美卿あき

曲名:SHINY MOON 歌手:橋本みゆき

ギャラリー

●絵師:西又葵、鈴平ひろ(一条ジョニー)  

キャラクター

小倉 朝日(こくら あさひ)/大蔵 遊星(おおくら ゆうせい)
性別や素性を偽り『桜小路ルナ』のメイドとして仕える男の娘。
英国美人の母の面影が強い、中性的な容姿。女装時は長髪のウィッグを使用。厳しい境遇で生きてきたにも関わらず、明るく前向きに育ったピュアな少年。基本的に万事ハイスペック。勉強も運動も家事全般も、なんでもソツなくこなす万能家。場の空気を読む社交的で思慮深い性格だが、反面、一般社会から隔離されて生きてきたのでややずれたところも。

桜小路 ルナ(さくらこうじ るな)CV:卯衣
主人公がメイドとして仕えることになる雇用主。常に冷静で、感情表現に乏しい。女王の風格ただようスーパーお嬢様。他人に対してはことさら尊大な口調で接するが、それは桜小路家の「ひとの上に立つ者には相応の振る舞いが求められる」という誇り高い教育によるもの。無駄に威張り散らしているわけではなく、自らに非があれば頭を下げるし、然るべき相手には敬意を払う。しかしそれとは別にSの気があるので、然るべき相手にもやっぱり辛口。小悪魔。ものを愛でるのは(自覚はないが)基本的に上から目線。過去の教えや経験から、他人に対して不用意に壁を解かない。しかし桜屋敷の人々に対してはその
限りでないようだ。

柳ヶ瀬 湊(やながせ みなと)CV:森谷実園
少女時代に出逢った主人公に、いまなお淡い想いを抱き続けていた幼馴染み。明るく優しく人懐っこい。お嬢様気質は薄く、上流階級のわりに趣味も思考も気取りがない庶民派。楽しいことが大好きでポジティブで大雑把な性格。誰にでも分け隔てなくフランクに接する。広く誰からも愛されるタイプだが、ハイソサエティの人々からは卑俗が過ぎると失笑されがち。

花之宮 瑞穂(はなのみや みずほ)CV:星咲イリア
はんなり大和撫子。温厚で柔和な性格だが、要あらば凛として主張できる芯の強い女性。箱入りで育てられたため若い男性と接する機会が少なく、また過去のトラウマもあり、男嫌いの気が強い。主人公のことは同性だと思っているのでかなり好意的。上京して最初の友達になりたいと言ってグイグイ来る。

ユルシュール=フルール=ジャンメール CV:五行なずな
スイス生まれの我がままツンデレお嬢様。貴族の誇りを間違った方向に拡大解釈している残念なお嬢様。自立心、自尊心が強い。何かにつけ白黒つけたがる、負けず嫌いな性格。家同士に古くから交流がある関係で『桜小路ルナ』とは旧知の仲。彼女のライバルを自認しており、ことあるごとに張り合っている。そしてよく負けている。ライバルの『ルナ』、そしてその従者である主人公『朝日』には、しばしば高慢な憎まれ口を叩く。しかしそれが構ってもらいたい気持ちの表れであることはバレバレなので、周囲は温かい目で見守っている。

大蔵 りそな(おおくら りそな)CV:咲野かなで
主人公『遊星』のひとつ年下の妹 (異母兄妹)。内向的で人付き合いが苦手。 歳のわりに達観しており、やや世界を斜めに見ている。親族 (主人公除く) の目の届くところでは上流階級の令嬢らしく楚々として振舞うが、その範囲外ではわりと大雑把。主人公と二人きりのときなど、寝転がって菓子をむさぼりながら毒舌をふるう。

山吹 八千代(やまぶき やちよ)CV:松田理沙
『ルナ』に仕えるメイドは(主人公ふくめて)複数人いるが、彼女らをまとめるチーフ的立場のメイド長。また主人公たちが通う 『フィリア女学院』 の臨時講師でもある。冷静で几帳面な性格。 職業柄もあって小言が多くなりがち。主人であるルナに対しても、間違いがあれば躊躇なく指摘する。そのため、あまり他人に心を許さないルナが信頼を寄せている数少ない相手。

大蔵 衣遠(おおくら いおん)CV:鳩万軍曹主人公
『遊星』の兄 (異母兄弟)。上流階級にふさわしい高貴さと、多分野に秀でた才を併せ持つ絶対的カリスマ。若くして世界的に名を馳せている天才ファッションデザイナーでもある。大蔵グループのアパレル企業を統べる事業主としても辣腕をふるい、一族の覚えも高い。

感想

音楽:A-

OP曲「DESIRE」はどこか寂しげな優しい曲。単調なメロディながら飽きが来なく、力強いボーカルによりサビはとても盛り上がる、中毒性のある曲。挿入歌である「SHINY MOON」はルナ√のみで流れる曲だが曲が流れるタイミングが素晴らしかった。是非プレイして流れるシーンと合わせて聞いて欲しい。

シナリオ:A-

シナリオは特に流れとかなく自由に選べます。
ただ、ルナ√が本作の目玉であり一番よく出来ているので最後にプレイするのを勧める。ちなみに、個人的な面白さはルナ>>>ユーシェ>瑞穂>湊です。 BADENDもあるので探してみるのも面白いかも。

 女装主人公に服飾、主従関係という要素によって構成されたこの作品。女装系は初め敬遠してたが、実際にプレイしてみて女装主人公というジャンルは、自身の秘密がバレるのではないかという恐怖により普段の何気ない日常がハラハラさせる要素の一つで作品の面白さに上手く作用してることに気づき、奥深いと思った。また服飾、主従関係についても服飾の役割である、デザイナーとパタンナーの関係と主従関係が見事にマッチしており主人公とヒロインの信頼関係がより深い感じがした。シナリオに関してはどの√も女装系といこともあり主人公の秘密がばれるが、最後には和解&後押ししてくれるとこが良いと感じた。女装系だからと言って敬遠しないでほしい作品。

絵(グラフィック):B

ショーの時のドレスの描写が恐ろしく美しかった。服飾をテーマにしてるだけあって細部までドレスが描かれており感嘆した。キャラの絵も普通に可愛いので良い。

演出:B

 普段の立ち絵の時もそうだが、一番盛り上がるショーの時等の演出が普通。例えば歩くときは足をアップするや、カットインを入れるなどの演出があればショーの様子をより分かりやすく、インパクトを与えることが出来ると思う。

キャラ:A-

 ヒロインに加え、従者であるサブキャラや主人公の身内キャラなど魅力的なキャラが多いのが良い。特に衣遠が良いキャラしてる。最初は外道やキャラかと思ったが芯はしっかりと通っていたり、実力主義で結果を出せば公正に見てくれるところがあったり、主人公に対して兄として愛しているのではないか、と思わせるような行動もしたりととても気になるキャラだった。

システム:B

システムに関しては特に癖もなく問題ない。あと、主人公である朝日のボイス追加パッチがあるのも良い。

H度:B

正直Hシーンはさらっと終わりすぎて印象に残ってない。だが、ルナ√のHシーンでシュチエーションを選べるのは良いと思った。

プレイ時間:30h

プレー時間は約30時間。特に長いと感じなかった。ルナ√は面白すぎて一瞬で終わる。

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